更新: 2026年8月4日 / 個人運営のAI技術ブログ
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【やってみた】“育つAI”Hermes Agentを、Novitaの隔離サンドボックスに常駐させてみた(前編・構築)——「1時間で消える」を自作テンプレで越えるまで

これまでこのブログで、続けて2つの「気になるもの」を紹介しました。ひとつは、会話をまたいで覚えて“使うほど育つ”とされる自己改善型のAIエージェント「Hermes Agent」。もうひとつは、そのAIエージェントを“隔離された環境”で試せる「Novita AI」のサンドボックスです。

前回はどちらも「見つけて、調べて、いいなと思った」ところで終わっていました。今回はその続きで、この2つを実際に組み合わせて動かしてみた記録です。ひとことで言うと、Novitaのサンドボックスの中に、Hermes Agentを立ててみました。私は非エンジニアなので、技術的なところはClaude Codeに手伝ってもらいながら進めています。

先に正直に言うと、道のりはまったくスムーズではありませんでした。「手順どおりにやったのに動かない」の連続です。ただ、そのつまずきごと残すほうが、これから同じことを試す人の役に立つと思うので、きれいに整えずに書きます。今回は前編として“構築”のところまで。セキュリティまわりの込み入った話は、後編にまわします。

なぜ、わざわざ「クラウドに常駐」させたいのか

前回の記事で、私はHermes Agentの「広い権限」に少し身構えていました。ファイルを操作したりスクリプトを動かしたりできるものを、いつも使っているメインPCにそのまま入れるのは怖い、と。あと、このためにMAC mini買うのもちょっと・・・😅

その不安への答えのひとつが、まさにNovitaのサンドボックスでした。自分のPCの外側、隔離された使い捨ての環境で動かせるなら、いちばん心配だった「うっかり大事なファイルを消される」「情報が外に漏れる」といったリスクを、物理的に自分のマシンから切り離せます。

もうひとつ、Hermesの魅力は「会話をまたいで覚えてくれる」ことでした。だとしたら、ずっと起きていて、いつ話しかけても続きから応じてくれるのが理想です。ノートPCを閉じたら記憶ごと消える、では“育つ”意味が薄れてしまいます。だから「クラウドで常駐」させたい——これが今回の出発点です。

いちばん困ったのは「1時間で全部消える」

ところが、最初に大きな壁にぶつかりました。サンドボックスが、起動から1時間ほどで自動的に片づけられてしまうのです。

しかも厄介なことに、片づけられると次に立ち上げたときには接続先のURLが変わってしまいます。せっかくHermesの初期設定をして、手元のアプリからつなぐ設定を書いても、1時間後にはその設定が無効になり、また一からやり直し——これでは「常駐」とはとても言えません。

たとえるなら、1時間ごとに勝手に初期化されて、URLまで変わってしまうパソコンを相手にしている感覚です。中身を作り込むほど、消えたときのダメージが大きくなる。ここをどうにかしないと先に進めない、と分かりました。

動画のとおりにやったら、動かなかった

そもそも今回は、ある解説動画を参考に始めました。ただしその動画は「Proxmox」という自宅サーバー向けの仕組みにHermesを入れる内容で、私はそこをNovitaのサンドボックスに置き換えて進めました。この“置き換え”のせいもあって、細かいところが次々に合いませんでした。

  • 公式のサンプルコードが、そのままでは動かない。
  • 動画で中心的に使われていたコマンドが、手元の環境にはそもそも存在しない
  • そして極めつけが、Novitaが用意している“Hermes入りの型(テンプレート)”が、かなり古いバージョンだったことです。

この最後のが曲者でした。用意されていたHermesは11バージョンも前のもので、しかも状態を確認すると「最新です(Up to date)」と表示されるのです。「最新だと言っているのに、実際は大きく古い」。ここに気づくまで、しばらく遠回りをしました。いったん最新版へ更新してみると、その差はコミット数にして1万4千件以上。もはや別物と言っていいくらいでした。

遠回りをやめて、最新版を“焼いた”自分専用テンプレを作る

毎回このズレと戦うのは不毛です。そこで方針を変えました。起動するたびに古いHermesを更新するのではなく、最初から最新版を組み込んだ“自分専用のテンプレート”を作ってしまうことにしたのです。

テンプレートは、必要なものをあらかじめ組み込んでおく“ひな型”です。最新版のHermesを焼き込んだテンプレートを一度作っておけば、次からはそこから起動できます。

これには、うれしい副作用もありました。以前は起動のたびに更新で100秒ほど待たされていたのが、最新版を焼き込んだテンプレートからだと起動が数秒で済むようになったのです。待ち時間のストレスが、ほぼ消えました。(ちなみに、この“自分専用テンプレを作る”という発想は、もともとメモリの都合で「そうせざるを得なかった」面もあるのですが、その細かい事情はここでは省きます。)

一晩置いても、消えず・同じURLで・お金もかからない

さて、肝心の「1時間で消える」問題です。新しいNovitaの環境には、**「一時停止(pause)」**という考え方がありました。破棄してしまうのではなく、そのまま眠らせておき、必要なときに起こす。これが、今回いちばん感心したところです。

実際に、こんな検証をしてみました。合言葉をひとつ覚えさせ、状態を記録してから一時停止し、そのまま一晩(約16時間)放置。翌朝、起こしてみたのです。結果は——

  • 数秒でちゃんと復帰した(消えていなかった)。
  • 記録しておいた会話の履歴も、合言葉も、そのまま残っていた
  • なにより、接続先のURLが前日とまったく同じだった。手元のアプリの設定を書き換える必要がなかったのです。
  • そして、眠っているあいだは料金がかからない。停止中は時間が“凍る”ような挙動で、実際に動いた分しか課金されませんでした。

「1時間で消える」「URLが毎回変わる」という、最初にぶつかった2つの壁が、これで両方ともなくなりました。中身を作り込んでも、一晩寝かせて翌日また続きから——という使い方が、ちゃんとできる。常駐エージェントの“土台”としては、これは相当ありがたい性質です。

ここまでの手応え(前編のまとめ)

というわけで前編は、「動画どおりにいかず苦労したけれど、最新版を焼いた自作テンプレと“一時停止”のしくみで、消えずに・同じURLで・お金もかけずにHermesを常駐させられた」というところまでの記録でした。

NexaLink Labsとしての現時点の感想を正直に言うと、**「Hermesを“載せる場所”としてのNovitaのサンドボックスは、この保持のしくみがとても良い」**というのが、まず伝えたい良い点です。無料の範囲で、実費ゼロでここまで試せたのも大きいと感じています。

ただ——ここまでは「立てて、保って、動かせた」という“うまくいった話”に寄せて書いてきました。実際には、**「広い権限を持つAIに、APIキーをどう安全に持たせるか」**という、もっと悩ましい問題が残っています。公式の便利機能が期待どおりに動かなかったり、こちらで手当てしても抜け道が残っていたり。そのあたりの“厳しめの現実”は、後編でまとめて正直に書きます。

(なお本稿では、安全のため、サンドボックスの固有ID・接続URL・パスワード・APIキーなどは伏せています。)

参考情報