更新: 2026年7月26日 / 個人運営のAI技術ブログ
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【開発記①】友人の一言で画像高画質化ツール作りに挑戦!貧弱PCの限界と、無料GPU「Modal」との出会い

※この記事は、AIツール「ClearScale」開発記の第1回(全3回)です。今回は、企画のきっかけから「画像を高画質にするツール」が完成するまでをお届けします。

ある日、友人から「フリマやネットショップに出す商品写真、解像度が低くて見栄えがしないんだけど、何とかキレイにできない?」と相談を受けました。

言われてみれば、古いスマホで撮った写真や、小さく保存されてしまった画像を「もう少しくっきりさせたい」場面は、私自身にもよくあります。せっかくなので、AIの力で画像を高画質にする(超解像=低解像度の画像を高解像度に引き上げる技術)ツールを、自分で作ってみることにしました。

今回は、その第一歩として「まず手元のパソコンだけで完結させようとして壁にぶつかり、無料のクラウドGPUサービスに出会うまで」の試行錯誤の記録です。

まずは「手元のPCだけ」で作ろうとした

最初に考えたのは、「画像をどこにもアップロードせず、自分のパソコンの中だけで処理が完結するアプリ」です。商品写真や個人的な写真を扱うので、クラウドに送らず手元で処理できれば安心ですし、何より無料で使えます。

そこで、「Real-ESRGAN」という有名なオープンソースの超解像モデルの中でも、特別なGPU環境がなくても動きやすい「realesrgan-ncnn-vulkan」という実装を採用し、デスクトップアプリ(ClearScale Local)のプロトタイプを組んでみました。

パソコンに内蔵されたGPU(Vulkanという仕組み)を使い、クラウド送信なしで4K相当まで画像を引き上げる、という構想です。処理前後を見比べられる比較スライダーも付けて、見た目の部分は形になりました。

立ちはだかった「貧弱PC」の壁

ところが、いざ実際に画像を処理させてみると、大きな問題にぶつかりました。

私のメインPCは、AI処理に強い高性能なGPUを積んでいない、いわゆる「非力なパソコン」です。そのため、1枚の画像を高画質化するだけでもかなり時間がかかり、GPUが非対応の環境ではCPUで処理する分、さらに遅くなってしまいます。

「1枚だけならまだしも、友人が扱うような枚数の商品写真をこのスピードで処理するのは、実務では厳しい……」

自分のPCの性能という、どうにもならない物理的な壁を感じた瞬間でした😅

Claude CodeとCodexに相談し、GitHubから答えをもらう

行き詰まった私は、いつものようにClaude CodeとCodexに相談してみました。「非力なPCでも実用的な速度で画像を高画質化するには、どんな構成にすればいいか」と。

すると、GitHub上に公開されている様々なプロジェクトや実装を教えてもらいながら、「そもそも重いAI処理を自分のPCで抱え込むのではなく、必要なときだけ外部の高性能GPUを借りればいいのでは?」という方向性が見えてきました。

処理に使うモデルも、汎用的な写真に向く「RealESRGAN_x4plus」を軸に据えることに決めました。あとは、この「高性能GPUを、必要なときだけ借りる場所」をどう用意するかです。

救世主「Modal」との出会い

そこで出会ったのが、「Modal」というサービスです。

Modalは、ざっくり言うと「使いたいときだけ、クラウド上の高性能GPUを秒単位で借りられる」サーバーレスのインフラです。しかも、毎月30ドル分ほどの無料クレジットが用意されており、個人が試すには十分な枠があります。

私にとって嬉しかったのは、GPUが「アイドル(待機)」の間に無駄な課金が発生しないよう、処理をうまく分ける設計にできる点でした。具体的には、画像を受け取る入り口の部分はGPUを使わない軽い処理にして、実際にAIが動く重い部分だけをGPUに任せる、という分離です。これなら、リクエストが来ていない間にGPU代がかかり続ける心配を抑えられます。

「自分のPCが非力でも、賢いAIの計算だけをクラウドの高性能GPUに間借りする」——この発想の転換で、道が一気に開けました。

ブラウザで動く高画質化ツールが完成!

方針が決まってからは、思い切ってクラウド版(ClearScale Cloud)として作り直しました。処理の流れはこんなイメージです。

  • ブラウザから画像をアップロードする
  • Modal上のGPU(L4)で「RealESRGAN_x4plus」を実行して高画質化する
  • 処理後の画像をダウンロードし、処理前後を比較ビューで見比べる

処理の進み具合も「アップロード中」「GPU処理中」「ダウンロード準備中」…と段階表示されるようにし、アップロードした画像は処理目的以外には保存しない方針にしました。

正確な処理時間やコストの本格的な計測はこれからですが、非力なPCで延々と待たされていた頃と比べると、実用的なスピードで画像がくっきりと生まれ変わるようになりました。ようやく、友人に「使ってみて」と言える形の高画質化ツールが完成したのです🎉

非エンジニアがこの体験で学んだこと

今回いちばん実感したのは、「AIツールを作るのに、必ずしも高価なパソコンを買う必要はない」ということです。

少し前なら、AIの重い処理をするには高性能なGPUを積んだPCを自前で用意するのが当たり前でした。しかしModalのようなサーバーレスGPUを使えば、非力なPCしか持っていない個人でも、必要なときだけ高性能な計算資源を「間借り」して、自分専用のツールを形にできます。

無料クレジットの範囲で試作し、アイドル時の課金を避ける工夫をすれば、運用コストもかなり抑えられます。個人開発者や小さなお店が「あったらいいな」を自分の手で作れる時代になってきたのだと、NexaLink Labsとしても改めて感じました。

おわりに

友人の何気ない一言から始まった画像高画質化ツールは、「自分のPCの限界」という壁を、クラウドGPUという発想で乗り越えて完成しました。

……と、ここで終われば綺麗だったのですが、実はこの後、同じ友人が困っていた「画像の背景除去」にも挑戦することになり、さらなる試行錯誤が待っていました。次回は、その背景除去で泥沼にはまり、「複数のAIモデルを重ねる」という答えにたどり着くまでをお届けします。

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